ゆるーくらくちんに。
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猫を抱いて象と泳ぐ  小川 洋子
評価:
小川 洋子
文藝春秋
¥ 1,780
(2009-01-09)
コメント:リトル・アリョーヒンは、棋士であり、詩人であった。マスターの言葉とポーンを胸に、美しい詩を棋譜に込めて、相手に贈り続けてきた。丁寧で、美しくて、繊細な物語だと思う。「100年残る傑作」という帯は、伊達な文言じゃないと思った。

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【カナ的ポップカード】

チェスの海を、リトル・アリョーヒンは泳ぐ。
マスターの言葉とポーンを抱いて、インディラとミイラと一緒に、チェス盤の上に詩を刻んだ。全ての人に、本当に美しい棋譜を贈りながら、彼はチェスの海を泳ぎ続けた。
大きくなる事を恐れ、慎ましやかに存在し続けた彼の、美しくひっそりとした繊細で丁寧な物語。
小川ワールド全開の、優しさとぬくもりの中、穏やかな世界に包まれます。


【思った事】

 小川ワールド全開だと思う。
 いつでも小川さんの世界観は独特で、いつでも閉鎖的で、控えめな世界なのに、頑なな意思を持った「〜だと信じている」という表現が出てくる気がする。『ミーナの更新』では、お屋敷の人はみんなお父さんの会社の水?を万能薬のようだと信じてたはずだし、『博士が愛した数式』の博士にとって、ルートは全ての数字を救う。リトル・アリーヒョンにとっては、大きくなる事は並々ならぬ恐怖であり、脅威である。自分が大きくなる事も、他人が大きくなる事も、同様にだ。だから彼は、大きくならない。マスターの事がトラウマで、婦長さんの夜食を工作するほどに。
 
 世界の全てが穏やかで、丁寧に描かれている。丁寧で、登場人物が控えめな描かれ方だから、自然と読むのがスローになる。
 行間まですくいあげてしまわないと。気を抜いたらこぼれてしまいそうだから。そんな気持ちで、ゆったり、穏やかな気持ちで読んだ。チェスの深みとそれに伴う人間味の温かさが溢れている。

 個人的には、老婆令嬢の「チェスを最初に教えてくれたのがあなたで良かった」という台詞は、「やられた!」と思った。老婆令嬢の存在そのものが、偉大なる伏線だと思う。



………………

やっぱりうまくまとめられないよ。くそう。
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